私たちからのメッセージ

このたび、ハートリボン協会の理事長を拝命いたしました秋沢淳子でございます。長年にわたり協会の活動を支えてこられた先達の皆さまに心より敬意を表しますとともに、こうして新たな一歩を皆さまと共に踏み出せることを大変光栄に存じます。

私は2000年に「SPUTNIK International」というNGOを立ち上げ、国際交流支援・国際教育支援・国際協力を三本柱に活動を続けてまいりました。特に2007年からは、スリランカ・クルネガラにおいて女の子のための児童養護施設「SPUTNIK Girls Home」を開設し、運営に携わっております。異なる文化や価値観の中で育つ子どもたちと向き合う中で、「子どもたちの未来を守るには、食と体験の環境がいかに大切か」を強く実感してまいりました。

令和7年度、ハートリボン協会は新たなテーマとして「食と体験」を掲げます。これは、子どもたちが心身ともに健やかに育つために欠かすことのできない二つの要素です。ひとつは、十分な食事を通じて栄養と安心を得ること。もうひとつは、挑戦や学びの機会を通じて自分の可能性を広げること。私たちはこの二つを車の両輪とし、より多くの子どもたちに未来への力を届けてまいります。

具体的には、子ども食堂を通じて、経済的な理由から十分に食べられない子どもたちに温かい食事を届ける活動をさらに拡充してまいります。その際には、自治体や地域の商店街の皆さまとの連携を一層深め、地域社会全体で子どもを支える仕組みを築き上げていきたいと考えております。

また、「食と体験」というテーマのもと、家にこもりがちな子どもたちに対して、安全で安心できる環境の中で、さまざまな挑戦や体験ができるイベントやスキームを展開してまいります。料理や農業体験、地域のお祭りや文化活動への参加など、子どもたちが社会を“リアルに”体感できる場を提供し、そこから自信や自己肯定感を育んでいきたいと考えております。

ハートリボン協会は、これまで「すべての子どもたちが健やかに成長できる社会」の実現を目指して活動を続けてまいりました。これからもその理念を大切にしながら、「食と体験」を通じて子どもたちの笑顔と未来を守り、さらに社会に広がりのある活動を推進してまいります。

皆さまにおかれましては、今後とも変わらぬご理解とご支援を賜りますよう心よりお願い申し上げます。

一般社団法人ハートリボン協会 理事長 秋沢淳子

 

 

今期より副理事長を拝命いたしました加藤なぎさと申します。働きながら子育てをする傍ら、小学校にてPTA会長、区立小学校PTA連合会長を務めさせていただきました。

子どもは宝。ひとりひとりが素晴らしい個性をもち、輝きと可能性に満ち溢れています。皆が、この世でたった一人の大切にされている自分を実感し、「生まれてよかった」と感じられる世の中にしていかなければならないと常日頃から願う次第です。他方、活動の中で子どもたち自身の様子、そして取り巻く環境の変化も感じてまいりました。

ひとりひとりの個性や興味、得意を伸ばす教育活動に目を向けられる一方、都心の遊び場不足、温暖化や気候変動により外で大きく体を動かすことがままならない、またデジタルデバイスの普及などによる孤立化、それらを要因の一端とする他者とのコミュニケーション機会の不足。社会の中での他者との交わりを通じて、肌身に感じ取るひとの想いや痛みへの共感力の低下は、コロナ禍を経て一層深刻さを帯びていると感じます。

加えて、日々の忙しさなかにあり、保護者自身の生活・経済状況、経験や興味関心によって子どもたちが受け取れる文化・芸術的な体験、体を動かす機会、探究的な学びの機会に差が生じる<体験格差>が社会問題になっています。可能性の枝を大きく広げる、根っこを育てる時期に、全ての子どもたちに良質な体験の機会を平等に与えることが、学校を超えた地域社会の担う役割ではないでしょうか。

このたび、ハートリボン協会は新たに「子どもたちの笑顔のための食事・体験・学習を通じた親子支援」に対して事業集中を図り、心機一転のスタートとなります。これまでの子ども食堂事業やフードバンク事業を通じて、どのような状況下にある子どもたちも安心してお腹いっぱいに食べられる地域社会の実現、そして自らの力で生き抜く力を身につけられる体験の機会提供を目指し、大使のみなさま、ご支援者様、そして思いを共に地域で活動される他団体の皆様とも協調しながら、本協会活動を必要としてくださる親子の皆様に一層のお役に立てるよう邁進して参ります。

日頃の活動へのご理解、ご協力に感謝を申し上げますとともに、今後ともハートリボン協会への温かな応援とお力添えを心よりお願い申し上げます。

一般社団法人ハートリボン協会 副理事長 加藤なぎさ